「葛の花」イソフラボン。普通の大豆イソフラボンとは何が違うの?
葛の花由来イソフラボンとは
葛の花由来イソフラボンとは、葛湯や葛餅などで親しまれてきた葛の花から抽出した成分で、体内の脂肪の分解と燃焼を促進させることによって、脂肪を減らす働きがあるといわれていて、最近注目されている栄養素です。肝臓内で糖や脂が中性脂肪に合成されるのを抑制し、白色脂肪細胞内で中性脂肪を分解して、さらに褐色脂肪細胞内での脂肪の燃焼を促進すると考えられています。
そのため、サプリメントなどに広く使われるようになっていて、健康食品やダイエットサプリとして幅広く利用されるようになってきました。
大豆由来のイソフラボンとは何が違うの?
簡単に言えば働きが異なります。「葛の花」イソフラボンは脂肪を燃焼させる働きが期待されるのに対して、大豆由来のイソフラボンは女性ホルモンのような働きをするので、更年期障害の緩和やそれに伴って生じる骨粗しょう症の予防などの働きを期待することが出来ます。つまり、同じイソフラボンという名前ではありますが、その働きはかなり異なるという事になるのでしょう。
ですから、ダイエットや健康的に痩せたいというような人には、葛の花由来イソフラボンが良いとされるわけで、骨粗しょう症などの場合は大豆由来のイソフラボンという事になるわけです。
同じイソフラボンという名前なので、その働きも同じような働きになるとイメージしてしまいますが、異なる働きをするので注意が必要という事になるのかもしれません。原料が違っているので構造も異なるので、人の体内に入った時にどのような働きをするのかという事も異なってくるわけです。
イソフラボンを考える時には、何を原料としているのかという事も考えることが必要になるというわけで、異なる原料のモノを選んでしまうと目的の効果を得られない事にもなるので、自分が希望する働きは何かをしっかりと考えてそれに合ったものを選ぶ必要があります。
葛(クズ)の健康効果
- 更年期障害の症状を改善する効果
- 骨粗しょう症を予防する効果
- 血流を改善する効果
- ダイエット効果
- 肝機能を高める効果
どうして問題になったのか。
消費者庁は葛の花由来イソフラボンを配合する機能性表示食品を販売する16社に、景品表示法に基づく措置命令を下しました。これは葛の花由来イソフラボンを配合する機能性表示食品の広告が誇大広告になっているというものです。脂肪燃焼を助ける働きがある、即ち痩せられるということを、この機能性表示食品を販売する会社は誇張して販売してきたわけですが、これに対して行政がその根拠は薄いという判断を下したという事になるのかもしれません。食べて痩せるなどあり得ないというのがその理由なのですが、これについては微妙なところでもあります。
販売会社としても脂肪燃焼効果を痩せるとまで言い切っているところが問題で、売れるためにはどんどんと表現が拡大していったという事は否めない事実という事になるでしょうし、これで全くの根拠なしという事になったわけではないという事も言えるでしょう。問題は誇大な表現になっていたところであり、実際の働きが否定されているわけではないという事にあります。
ちゃんとした摂取と運動で効果は上がる?
機能としてそうした働きがあるわけですから、ちゃんと摂取して運動をすれば効果は出るという事になります。問題とされたところは、運動することも食事制限をすることも無く痩せられるというような拡大解釈のようなところが問題となっただけの事であって、葛の花由来イソフラボンの機能そのものが間違っていたというわけではないという事です。
拡大解釈がかなり行き過ぎていたので、脂肪燃焼を助けることがそのまま痩せるという事に直結し、何もしないでも痩せるというような表現が飛び出したりしているところに問題があったわけです。
ちゃんと摂取してしっかりと運動をすれば、当然その効果も出てくることになります。このことは、問題を指摘されていない企業の商品がある事からも分かります。
つまり、誇大広告ではなく、しっかりと情報を説明している商品については問題を指摘されていないという事です。ですから、この栄養素の働きそのものが否定されたわけではありません。”
基本情報
葛とは、マメ科のつる植物で半低木性の多年草[※1]です。
主に日当たりの良い山野に生育しており、日本から中国、東南アジアに多く分布しています。
「秋の七草[※2]」のひとつに数えられ、夏から秋にかけて美しい紅紫色の花を咲かせます。
葛(クズ)の利用法
葛は昔から根や葉、花、つるにいたるまで全ての部分が利用される植物です。
根や葉、花は薬効を求めて生薬や食品として使われてきました。
土の中にある葛の根には、大量のでんぷんが含まれています。葛の根から繊維質を取り除き、純粋にでんぷんだけを取り出して乾燥させたものが一般に葛粉(くずこ)、または葛でんぷんと呼ばれています。昔はでんぷんといえば葛でんぷんと考えられていましたが、最近では生産量が少なくなり、病人食や高級菓子に使われている程度です。葛粉をお湯に溶かした葛湯(くずゆ)は、滋養食として現在でも親しまれています。
葛の根は葛根(かっこん)という生薬名でも取り扱われており、多くの漢方薬に配合されています。中でも風邪などの症状が出た際に飲まれる「葛根湯(かっこんとう)」がよく知られています。
葛の花を乾燥させたものは、生薬名で葛花(かっか)と呼ばれています。
葛花は「酒毒(しゅどく)を消す」といわれ、二日酔いの予防や解消のために日本や中国、台湾、アジア諸国で用いられてきました。中国の「名医別録(めいいべつろく)[※3]」には「葛の花は酒を消す」と記され、日本の「救民妙薬(きゅうみんみょうやく)[※4]」にも「酒毒には、葛の花」と記録されていることから、古くから葛の花が持つ薬効が知られていることがわかります。
他にも、葛の青葉を搾ってつくる青葉汁は切り傷の回復や糖尿病の改善に、新芽を水で煮出してつくる新芽茶は養毛効果に良いとされています。
葛は食用としても幅広く利用されています。若葉や新芽は生のまま天ぷらや炒め物にされたり、塩茹でして和え物や酢の物として食べられています。葛の花やつぼみは、漬け物や葛の花ご飯、酵母、花酒、花酢など様々に利用されています。
また、葛のつるの部分は編んでかごなどに利用されます。
[※1:多年草とは、茎の一部、地下茎、根などが枯れずに残り、複数年にわたって生存する草のことです。]
[※2:秋の七草とは、萩(ハギ)、尾花(オバナ)、葛(クズ)、撫子(ナデシコ)、女郎花(オミナエシ)、藤袴(フジバカマ)、桔梗の七草を指します。「春の七草」は無病息災を願って七草粥として食されますが、「秋の七草」は観賞用として使用されます。]
[※3:名医別録とは、生薬について書かれた漢方の古典書物のことです。陶弘景によってつくられました。]
[※4:救民妙薬とは、水戸黄門こと水戸光圀公が、水戸藩の藩医であった穂積甫庵に命じて編集させた薬草の処方を記した書物のことです。]
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